今回は、キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)についてご紹介していきます。         

※令和4年10月時点の要件に基づいております。

障害者正社員化コースの概要

キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)は、障害者の雇用を促進するとともに職場定着を図るために、一定の障害を有する非正規社員(有期雇用労働者、短時間労働者)を正社員又は無期雇用労働者に転換した場合に助成金が支給されます。助成金額は次の通りです。

支給対象者措置の内容支給総額
重度の身体障害者
重度の知的障害者
精神障害者
有期雇用 ⇒ 正社員
 有期雇用 ⇒ 無期雇用
無期雇用 ⇒ 正社員
120万円
60万円
60万円
重度以外の身体障害者
重度以外の知的障害者
発達障害者
難病患者
高次脳機能障害と診断された者
有期雇用 ⇒ 正社員
 有期雇用 ⇒ 無期雇用
無期雇用 ⇒ 正社員
90万円
45万円
45万円

※キャリアアップ助成金(正社員化コース)の支給申請上限には該当しません。
※大企業の場合は金額が異なりますのでご注意ください。

障害者正社員化コースの主な要件

助成金を受け取るための主な要件は下記のとおりです(その他にも細かな要件があります)。

  • 正社員に適用される就業規則と非正規社員に適用される就業規則が明確に区別されて作成されていること
  • 正社員に適用される就業規則には、「賞与制度又は退職金制度」かつ「昇給制度」が明確に定められていること
  • 転換日時点で、次のいずれかに該当する労働者であること
    (1)身体障害者
    (2)知的障害者
    (3)精神障害者
    (4)発達障害者
    (5)難病患者 
    (6)脳の機能的損傷に基づく精神障害である高次脳機能障害であると診断された者
  • 入社して6か月以上の有期雇用労働者ないし無期雇用労働者を正社員に転換、又は入社して6か月以上5年以下の有期雇用労働者を無期雇用労働者に転換していること
  • 正社員(有期雇用労働者又は無期雇用労働者として入社した場合)又は無期雇用労働者(有期雇用労働者として入社した場合)として雇用することを予め約束して入社した者でないこと
  • 転換日前3年以内に、自社又は関連会社において正社員又は無期雇用労働者として雇用されたことがない者であること
  • 転換した従業員が支給申請日の時点で退職していないこと
  • 転換日から定年までが1年以上あること
  • 転換後は雇用保険、社会保険に加入していること
  • 転換する際に、対象労働者の同意を得ていること
  • 転換前後に事業主都合による解雇等を行っていないこと
  • 就労継続支援A型事業における利用者でないこと
  • 転換日以降において、対象労働者について最低賃金法第7条の最低賃金の減額特例の許可を受けている事業主でないこと

支給申請の流れ

① キャリアアップ計画の作成・提出

② 正社員又は無期契約社員に転換

③ 転換後6か月分の賃金を支給

④ 第1期支給申請

⑤ 転換後12か月分の賃金を支給

⑥ 第2期支給申請

キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)は、以下の内容が正社員化コースと異なります。

  1. 有期雇用労働者から無期雇用労働者へ転換した場合にも助成金の対象となります。
  2. 転換後に賃金アップの要件はありません(正社員化コースの場合は3%増額する必要があります)。
  3. 有期雇用労働者の有期雇用期間が3年を超えていても対象となります(正社員化コースの場合は3年以下でなければ対象となりません)。
  4. 1年度の支給申請人数に上限はありません(正社員化コースの場合は1年度20人が上限)。

助成金は頻繁に要件が変更されますので、キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)の申請をお考えの場合には、最新の情報を確認したうえで取り組んでいただくようお願いいたします。

社会保険労務士 八尋 慶彦