前回に引き続き今回も、両立支援等助成金(育児休業等支援コース)についてご紹介していきます。
育児休業等支援コースは、従業員が育児休業を取得したタイミング職場復帰したタイミングの2回に分けて申請します。このうち、今回は従業員が育児休業を終えて職場復帰した際の要件や手順について解説していきます。
※令和4年11月時点の要件に基づいております。

育児休業等支援コース(職場復帰時)の概要

両立支援等助成金(育児休業等支援コース 職場復帰時)は、育児休業を取得した従業員の円滑な職場復帰を促進するために、育休復帰支援プランに基づき育児休業を取得した従業員を原職(産休・育休前に就いていた職務)に復帰させた場合に支給されます。助成金額は次の通りです。

285,000円

※1事業所あたり2名までとなります(無期雇用労働者1名、有期雇用労働者1名)。
※中小企業のみ対象の助成金となっており、大企業の場合は申請することができません。

育児休業等支援コース(職場復帰時)の主な要件

両立支援等助成金(育児休業等支援コース 職場復帰時)を受け取るための主な要件は下記のとおりです(その他にも細かな要件があります)。

  • スムーズな職場復帰ができるよう、従業員の育休中に、職務や業務内容に関する情報提供(ミーティング資料の共有など)を行っていること
  • 職場復帰前及び職場復帰後にそれぞれ面談を行い、その内容を「面談シート」に記録していること
  • 休業前に就いていた職務(原職)に復帰させていること
  • 職場復帰日から助成金を申請するまでの間、継続して雇用保険に加入していること

支給申請の流れ

① 面談を実施したうえで、休業前に就いていた職務(原職)に復帰

② 支給申請

「育児休業等支援コース 職場復帰時」の活用をお考えの場合の注意点を記載いたします。

  • 「育休取得時」の対象となった従業員が育児休業を終えて職場復帰した場合に助成金の対象となります。
    ※「育休取得時」と「職場復帰時」はセットとなりますので、「職場復帰時」のみ申請することはできません。
  • 正社員として育休に入った後、パートとして職場復帰した場合には、たとえ従業員本人の意思や希望に基づくものであったとしても、原職に復帰したものとはみなされず、助成金は支給されません。
    ※ただし、就業規則の定めに基づく育児短時間措置を利用して、所定労働時間が一時的に短い働き方で職場復帰した場合には助成金の対象となります。
  • 「原職への復帰」とは、原則として休業前に就いていた部署と同じ部署、同じ職務、同じ地位で職場復帰することをいいます。
    ※たとえば、休業前まで支給されていた「主任手当」が職場復帰後は支給されない場合などは、「同じ地位」での復帰とは認められません。
  • 職場復帰後は、所定労働日の半分以上就業している必要があります。

両立支援等助成金(育児休業等支援コース 職場復帰時)の申請をお考えの場合には、最新の情報を確認したうえで取り組んでいただくようお願いいたします。

社会保険労務士 八尋 慶彦