労働者を雇用した場合には、労働者ごとに様々な書類を作成し、それを保存しておかなければなりません。しかし、どの書類をどのぐらいの期間保存する必要があるのか、そもそもどの書類を作成しておけば良いのかなど、悩まれる機会も多いと思います。そこで今回は、労働者を雇用した際に作成しておく必要がある書類と、その書類の保存期間について解説していきます。

法定4帳簿とは?

労働基準法では、労働者を雇用する会社に対して、「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」「年次有給休暇管理簿」を作成し、これらを一定期間保存することを義務付けています。これら4つの書類のことを法定4帳簿と言います。

労働者名簿事業場ごと及び労働者ごとに作成
・氏名、生年月日、性別、住所
・履歴
・入社年月日
・従事する業務の種類
・退職年月日及びその事由
・解雇の場合は解雇の理由
・死亡の場合は死亡の原因
※日雇労働者は作成義務無し
賃金台帳〇事業場ごとに作成
・氏名、性別
・賃金計算期間
・労働日数、労働時間数
・残業時間数
・休日労働時間数
・深夜労働時間数
・賃金の種類ごとにその金額
・賃金控除額
出勤簿〇法条文に記載されていない隠れ帳簿
・氏名
・出勤日
・出勤日ごとの始業、終業時刻
・休憩時間
・残業時間  など
年次有給休暇管理簿〇労働者ごとに作成
・有給を取得した日
・有給の付与日
・有給の付与日数
※必要事項が記載されていれば、様式は任意で良い。

法定4帳簿は労働基準監督署や社会保険の調査時、助成金申請時など多くの場面で確認されるものの代表的な書類となっています。

労務関連書類の保存期間は?

法定4帳簿以外にも、労働者を雇用することによって様々な書類を作成する必要があります。次の表に記載の期間は必ず保存し、いつでも提出することができるように整備しておきましょう。

書類保存期間起算日
労働者名簿3年死亡・退職・解雇日
賃金台帳3年最後の記入日
出勤簿3年完結日
雇い入れ・退職に関する書類
※履歴書、雇用契約書、退職届etc
3年死亡・退職・解雇日
災害補償に関する書類
※診断書etc
3年災害補償が終わった日
労使協定3年完結日
健康診断結果票5年作成日
ストレスチェック結果5年作成日
雇用保険被保険者に関する書類
※資格取得等確認通知書etc
4年完結日
雇用保険被保険者以外に関する書類
※適用事業所設置届etc
2年完結日
労災保険に関する書類3年完結日
労働保険料に関する書類
※保険関係成立届etc
3年完結日
健康保険に関する書類2年完結日
厚生年金に関する書類2年完結日
就業規則永久
※会社によって上記以外にも保存しなければならない書類が存在します。
※データで保存しても良いことになっています。

上記の書類は労務管理上必要な書類となります。実際には税務関係の書類など、その他の書類もあわせて保存することが多いですが、必要な時にすぐ準備できるよう日頃から整備しておくことが望ましいです。

社会保険労務士 八尋 慶彦