新型コロナウイルスの影響で会社や事業所を休業させ、休業手当を支払った場合に申請することができる雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金とは別に、新型コロナウイルスに感染した子どもの世話をするなどの理由によって休業した従業員に給与を支払った場合に申請することができる助成金として、小学校休業等対応助成金というものが存在します。

今回は、小学校休業等対応助成金について解説していきます。
※令和5年1月時点の要件に基づいております。

小学校休業等対応助成金の概要

小学校休業等対応助成金は、令和5年3月31日までの間に、次の①又は②に該当する子どもの世話を行う従業員に対して、特別の有給休暇を取得させ、その期間の給与を満額支給した場合に支給されます。助成金額は次の通りです。

① 新型コロナウイルスの影響で臨時休業などになった小学校や保育園などに通う子ども
② 新型コロナウイルスに感染した子どもや体調不良などにより小学校や保育園などを休む必要がある子ども

特別休暇中に従業員に支払った賃金相当額

休暇取得期間1日の上限額申請期限
令和5年3月31日までの休業 8,335円令和5年5月31日(水)必着

この助成金は、新型コロナウイルスに感染した子どもの他に、発熱等の風邪症状が見られる子どもや濃厚接触者となった子どもの世話をする場合も対象になっているため、より幅広く活用することができます。しかし、あくまで新型コロナウイルスに対する助成金であるため、インフルエンザにより小学校や保育園などが休業した場合は対象となりません。

申請の流れ

子どもの世話をするための休暇を取得

特別休暇として賃金の全額を支給

支給申請

小学校休業等対応助成金の活用をお考えの場合の注意点を記載いたします。

  • 労働基準法上の有給休暇ではなく、特別の有給休暇として賃金の全額を支払った場合のみ助成金の対象となりますので、例えば平均賃金の60%を支払ったようなケースでは対象となりません。
  • 会社や事業所自体を休業させる必要はなく、また、雇用調整助成金のように売上が前年に比べて減少しているというような要件もありません。
  • 子どもの父母だけでなく、祖父母など、子どもを現に監護する者であれば対象となります。
  • 1日休暇を取得した場合だけでなく、半日単位での休暇や時間単位での休暇を取得した場合も対象となります。しかし、勤務時間を短縮した場合は、休暇とは異なるため対象外となりますのでご注意ください。
  • 有給休暇や欠勤を事後的に特別休暇に振り替えた場合でも、その旨従業員に説明し、同意を得ていれば変更可能です。
  • 小学校や保育園は休業していないが、感染予防として自主的に登校や登園を自粛した場合は対象になりません。

小学校休業等対応助成金の申請をお考えの場合には、最新の情報を確認したうえで取り組んでいただくようお願いいたします。

社会保険労務士 八尋 慶彦