今回は、助成金の中で最も有名で、当事務所でも一番申請実績の多いキャリアアップ助成金(正社員化コース)についてご紹介していきます。

※令和7年4月時点の要件に基づいております。

○ 正社員化コースの概要

キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、非正規社員(有期雇用労働者、短時間労働者など)の雇用の安定及び処遇の改善を図るために、就業規則(正社員転換制度)に基づき、非正規社員を正社員に転換した場合に助成金が支給されます。助成金額は次の通りです。

※1 重点支援対象者とは、次のA~Cのいずれかに該当する方を言います。
 A:雇い入れから3年以上の有期雇用労働者
 B:雇い入れから3年未満で、次の①、②の両方に該当する有期雇用労働者
  ① 過去5年間に正社員であった期間が通算1年以下
  ② 過去1年間に正社員として働いていない
 C:母子家庭の母、父子家庭の父、人材開発支援助成金の訓練修了者など

※新卒で雇い入れた者は原則として対象外となります。
※1年度に最大20人まで申請が可能です。
※大企業の場合は金額が異なりますのでご注意ください。

○ 正社員化コースの主な要件

キャリアアップ助成金(正社員化コース)の主な要件は下記のとおりです。

※上記の他にも細かな要件があります。

○ 支給申請の流れ

① キャリアアップ計画の作成・提出
② 就業規則に「正社員転換制度」を規定                                            ※①と②は順番が逆でも問題ございません。
③ 就業規則(正社員転換制度)に基づき正社員に転換
④ 転換後6か月分の賃金を支給した日から2か月以内に支給申請(第1期)
⑤ (重点支援対象者のみ)さらに6か月分の賃金を支給した日から2か月以内に支給申請(第2期)
※重点支援対象者以外の者の場合は、第1期支給申請のみ可能です。

キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、ただ単に正社員に転換させたら貰えるというものではなく、非正規社員の処遇を改善するための取り組みを行っている必要があります。その他にも、「過去に労働保険料を滞納している場合」、「過去に労働関係法令違反があった場合」、「就業規則・賃金台帳・雇用契約書などの整備が不十分な場合」など、日頃の労務管理が適切でない場合も当然受給できません。

キャリアアップ助成金(正社員化コース)の申請をお考えの場合には、最新の情報を確認したうえで取り組んでいただきますようお願いいたします。

参考:キャリアアップ助成金|厚生労働省

特定社会保険労務士 八尋 慶彦