今回は、両立支援等助成金(業務代替支援)についてご紹介していきます。
業務代替支援も前回、前々回で解説した「両立支援等助成金 育児休業等支援コース」の一種ですが、このコースは文字通り育児休業取得者の業務を代替する人を新たに採用した場合などの取り組みを行った際にもらえる助成金となります。今回は業務代替支援の要件について詳しく解説していきます。
※令和4年11月時点の要件に基づいております。

業務代替支援の概要

両立支援等助成金(業務代替支援)は、育児休業を取得した従業員と同じ職種・同じ勤務場所・同じ地位・同程度の労働時間で勤務する代替要員を新たに採用した場合又は育児休業取得者の業務を社内の他の従業員に代替させ、業務の見直し・効率化を行うとともに、業務を代替した従業員に対して増額して賃金を支払った場合に支給されます。助成金額は次の通りです。

新規雇用の場合:475,000円

手当支給等の場合:100,000円

※1事業所あたり1年度につき10名までとなります(初めて支給決定を受けてから5年間申請可能です)。
※中小企業のみ対象の助成金となっており、大企業の場合は申請することができません。

業務代替支援の主な要件

両立支援等助成金(業務代替支援)を受け取るための主な要件は下記のとおりです(その他にも細かな要件があります)。

  • 育休取得者を原職(休業前の職務)に復帰させることについて、復帰までに就業規則に定めていること
  • 育休取得者が3か月以上の育児休業(産後休業を含む)を取得すること
  • 育休取得者が原職に復帰後、6か月以上の期間継続して雇用保険被保険者として勤務していること
  • (新規雇用の場合)育休取得者と同じ職務・同じ勤務場所・同じ地位・同程度の労働時間で勤務する代替要員を新たに採用すること
  • (手当支給等の場合)育休取得者の業務を社内の他の従業員に代替させ、その従業員に対して増額して賃金を支払うこと

注意点

「業務代替支援」の活用をお考えの場合の注意点を記載いたします。

  • 育休取得者の代替要員として新たに採用する場合には、同じ職務・同じ勤務場所・同じ地位・同程度の労働時間で勤務する者でなければ助成金の対象となりません。
    ※資格が必要な業務であれば、新たに採用する者も同様の資格を保有している必要があります。
    ※同程度の労働時間とは、育休取得者と新たに採用する者との所定労働時間の差が1時間以内であれば問題ありません。
    ※新たに採用する者の方が所定労働時間が長い場合も問題ありません。
    ※基本給に差があることは問題ありません。
  • 新たに採用する場合、育休取得者の妊娠の事実を知った日以降に採用している必要があります。
  • 正社員として育児休業に入った従業員が、パートとして職場復帰した場合は、たとえ本人の意思や希望に基づくものであったとしても原職へ復帰したものとは認められず、助成金の対象外となります。
  • 支給申請時点で最新の法改正が反映された育児休業規程(就業規則)を整備している必要があります。

両立支援等助成金(業務代替支援)の申請をお考えの場合には、最新の情報を確認したうえで取り組んでいただくようお願いいたします。

社会保険労務士 八尋 慶彦