今回は、両立支援等助成金(出生時両立支援コース)、いわゆる男性育休の助成金についてご紹介していきます。

昨年厚生労働省が全国の6300の事業所に対して行った調査(そのうち回答したのは3683の事業所)によると、男性の育児休業取得率は13.97%で過去最高を記録しました。しかし、政府は男性の育児休業取得率を2025年までに30%にするという目標を掲げており、この数字には達していないのが現状となっています。

そこで、2022年10月1日より「産後パパ育休制度」や「育児休業の分割取得制度」を新たに施行するなど、様々な施策を打ち出し、政府目標を達成しようとしています。

その中で、男性従業員に育児休業を取得させるための取り組みを行い、育児休業を取得させた企業に対して助成金を支給することで、より男性従業員が育児休業を取得しやすい職場環境を作ることを目的として始まったのがこの男性育休の助成金となります。

※令和4年11月時点の要件に基づいております。

出生時両立支援コースの概要

両立支援等助成金(出生時両立支援コース)は、男性従業員の育児休業の取得を促すために、男性従業員が育児休業を取得しやすい雇用環境の整備や業務体制の整備を行い、男性従業員が子の出生後8週間以内に連続5日以上の育児休業を開始した場合に支給されます。助成金額は次の通りです。

200,000円

※1事業所あたり1回限りとなります。
※中小企業のみ対象の助成金となっており、大企業の場合は申請することができません。

出生時両立支援コースの主な要件

両立支援等助成金(出生時両立支援コース)を受け取るための主な要件は下記のとおりです(その他にも細かな要件があります)。

  • 育休開始日の前日までに、「育児・介護休業法に定める雇用環境整備の措置」を複数講じていること
    ※「雇用環境整備の措置を複数講じること」とは、以下に記載の4項目のうち2項目以上講じている必要があります。(令和4年4月1日 育児介護休業法 改正内容)
    ① 育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
    ② 育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等(相談窓口の設置)
    ③ 自社の従業員の育児休業・産後パパ育休の取得事例の収集及び提供
    ④ 自社の従業員へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知
  • 男性従業員が、子の出生後8週間以内に開始する連続5日以上の育児休業を取得していること
    ※所定労働日が4日以上含まれていれば要件を満たします。
    (例)火~金:所定労働日、土:公休日 ⇒OK
  • 育休を取得する男性従業員の業務を代替する従業員の業務見直しに関する規定等を策定し、それに基づき業務体制の整備を行っていること
  • 男性従業員が雇用保険に加入していること
  • 最新の法改正内容を反映した育児休業規程(就業規則)を整備し、それに基づき育休を取得していること

支給申請の流れ

① 一般事業主行動計画の策定・届出・公表・周知

② 雇用環境整備の措置を複数実施

③ 連続5日以上の育児休業を取得

④ 支給申請

男性が育児休業を取得した場合、一定要件を満たせば女性と同じように育児休業給付金を受け取ることができます。また、状況によっては社会保険料の免除がなされることもあります。

両立支援等助成金(出生時両立支援コース)の申請をお考えの場合には、最新の情報を確認したうえで取り組んでいただくようお願いいたします。

社会保険労務士 八尋 慶彦